低侵襲治療
低侵襲治療とは
医学用語としての「侵襲」とはケガや医療的処置、手術等によって生体を傷つけることを指します。近年、医療機器、医療技術の進歩により、侵襲を少なく抑えた患者さんの体に優しい低侵襲治療の導入が各分野で進んでいます。
侵襲が少ないことは、治療後の痛みの低減、入院期間の短縮、早期の社会復帰が可能となるなど、患者さまのメリットに繋がります。
当院では診療にあたって、病気やけがをしっかりと治療することを前提としたうえで、可能な限り侵襲を低く抑えることを心がけております。
当院で実施している低侵襲治療
カテーテル治療
血管内にカテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、その管を通じて各種治療を行います。心臓の病気を主として、それ以外の分野でも導入が進んでいます。切開が小さく済むため極めて少ない侵襲で治療が可能です。
PCI(経皮的冠動脈形成術) 対象疾患:狭心症、心筋梗塞
ロータブレーター 対象疾患:狭心症、心筋梗塞
TAVI 対象疾患:大動脈弁狭窄症
マイトラクリップ 対象疾患:僧帽弁閉鎖不全症
Watchman 対象疾患:心房細動(心原性脳梗塞予防)
カテーテルアブレーション術 対象疾患:不整脈各種
ステントグラフト内挿術 対象疾患:大動脈瘤
頚動脈ステント留置術 対象疾患:頸動脈狭窄
マキシマレーザー・クロッサー(経皮的下肢動脈形成術) 対象疾患:下肢閉塞性動脈硬化症
脳血栓回収療法 対象疾患:脳梗塞
脳動脈瘤コイル塞栓術 対象疾患:脳動脈瘤
フローダイバーターステント 対象疾患:脳動脈瘤
経皮的腎(腎盂)瘻造設術 対象疾患:水腎症
経皮的胆管ドレナージ術 対象疾患:胆のう炎
など
腹腔鏡、胸腔鏡手術
3~5cm程度の小さな切開から、カメラ(腹腔鏡、胸腔鏡)や鉗子、メスなどを挿入して行う手術です。傷(切開創)が小さいこと以外にも、炭酸ガスで腹腔内を膨らませて(気腹)手術をおこなうため、ガスの圧力により出血が抑えられることも利点の一つと言えます。
腹腔鏡下胃切除術 対象疾患:胃がん
腹腔鏡下虫垂切除術 対象疾患:虫垂炎
腹腔鏡下腸管癒着剥離術 対象疾患:腸管癒着
腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術 対象疾患:鼠径ヘルニア
腹腔鏡下胆嚢摘出術 対象疾患:胆のう炎
腹腔鏡下卵巣部分切除術 対象疾患:卵巣がん
胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 対象疾患:肺がん
胸腔鏡下弁形成術 対象疾患:心臓弁膜症
胸腔鏡下心房細動手術 対象疾患:心房細動(および心原性脳梗塞予防)
など
ロボット手術(ダヴィンチ手術)
腹腔鏡手術、胸腔鏡手術の進化系と言えるのがロボット手術です。従来の腹腔鏡手術、胸腔鏡手術では鉗子を通じて行っていた操作を、手術支援ロボットによる操作に置き換えたものです。腹腔鏡手術の利点に加えて、多関節構造のアームによる操作性や手振れの排除などから、より正確、安全な手術を行えます。
ロボット支援弁形成術 対象疾患:心臓弁膜症(僧帽弁、三尖弁)
ロボット支援冠動脈バイパス術 対象疾患:狭心症、心筋梗塞
ロボット支援前立腺全摘除術 対象疾患:前立腺がん
ロボット支援膀胱全摘除術 対象疾患:膀胱がん
ロボット支援腎摘除術 対象疾患:腎がん
ロボット支援直腸切除術 対象疾患:直腸がん
ロボット支援結腸切除術 対象疾患:結腸がん
ロボット支援子宮全摘術 対象疾患:子宮良性腫瘍(子宮筋腫、子宮腺筋症)
ロボット支援仙骨膣固定術 対象疾患:骨盤臓器脱
など
内視鏡治療
口やお尻、尿道から挿入する内視鏡(いわゆる胃カメラや大腸カメラ)は単に観察、撮影をするだけでなく、その管を通じて器具を出し入れし治療を行うことができます。近年では技術が進み、早期のガンであれば内視鏡による切除が可能となっています。
ESD<内視鏡的粘膜下層剥離術> 対象疾患:早期の消化器がん(胃、大腸、食道、十二指腸)
肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法 対象疾患:肝細胞癌
内視鏡的乳頭切開術 対象疾患: 胆管(肝内外)結石、胆管炎
食道・胃静脈瘤硬化療法 対象疾患:肝硬変
内視鏡的胆道結石除去術 対象疾患:胆道結石
内視鏡的消化管止血術 対象疾患:消化管出血
内視鏡的胆道ステント留置術 対象疾患: 胆管(肝内外)結石、胆管炎
内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 対象疾患:大腸ポリープ
内視鏡的食道及び胃内異物摘出術 対象疾患:食道・胃異物
など
その他
ESWL<体外衝撃波腎尿管結石破砕術>対象疾患:尿路結石
TUL<経尿道的尿路結石砕石術> 対象疾患:尿路結石
CVP<接触式レーザー前立腺蒸散術> 対象疾患:前立腺肥大症
リードレスペースメーカー 対象疾患:不整脈
S-ICD<皮下植込み型除細動器> 対象疾患:不整脈(心室頻拍、心室細動)
など