骨軟部腫瘍の治療
良性骨腫瘍の治療について
骨軟骨腫、内軟骨腫、類骨骨腫、骨芽細胞腫、骨巨細胞腫、軟骨芽細胞腫、線維性骨異形成症、動脈瘤様骨嚢腫、孤立性骨嚢腫などがあります。そのまま放置すると骨折に至る場合があり、予防的に治療を行うことがあります。具体的には腫瘍を除去し(掻爬)、できた空洞に骨盤から採取した骨を移植したり、人工骨を充填したりすることがあります。また必要に応じて金属で固定することもあります。
良性軟部腫瘍の治療について
脂肪腫、神経鞘腫、血管腫、神経線維腫、平滑筋腫、腱鞘巨細胞腫などがあり切除を行うことがあります。特に神経鞘腫では切除後に稀に神経麻痺を起すことがあるため注意が必要です。診断に苦慮することがあり、画像、病理組織所見を総合的に判断して確定診断を行うため、専門的知識を持った医師に治療してもらうことが重要です。
悪性骨腫瘍の治療について
骨肉腫、軟骨肉腫、悪性線維性組織球腫、ユーイング肉腫、線維肉腫などがあり、症例に応じて手術療法、化学療法、放射線療法を組み合わせて行います。
i.手術療法について
悪性骨腫瘍は四肢に出来ることが多く、以前は切断術が行われていました。その後、治療手技の確立により現在では可能な限り患肢温存手術を行うようになってきました。悪性骨腫瘍を切除するとしばしば大きな骨欠損ができるため人工関節、骨移植、内固定材で再建することがあります。ただし、患肢温存が困難な症例や術後感染きたした場合は切断が行われることがあります。
腫瘍用人工関節で再建した症例
ii.化学療法について
悪性骨腫瘍のうち骨肉腫やユーイング肉腫などの高悪性骨腫瘍には化学療法も併用して治療を行います。この場合は化学療法による治療が可能な施設へご紹介させて頂くことがあります。
悪性軟部腫瘍の治療について
悪性線維性組織球腫、脂肪肉腫、平滑筋肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、滑膜肉腫、横紋筋肉腫、線維肉腫などがあります。手術療法が基本ですが、腫瘍の性質を検討して化学療法、放射線療法を組み合わせて行うことがあります。手術療法は悪性骨腫瘍と同様に可能な限り患肢温存手術を行い、必要に応じて形成外科的な再建を行います。悪性軟部腫瘍の多くは化学療法の有効性が科学的に証明されておらず、メリット、デメリットを患者さんに説明した上で行います。高悪性軟部腫瘍で化学療法が必要と思われる場合は化学療法による治療が可能な施設へご紹介させて頂くことがあります。
転移性骨腫瘍の治療について
整形外科領域で最も多いのは他臓器に発生した癌が骨・軟部組織に転移をして生じる転移性骨・軟部腫瘍です。痛みとともに機能障害も著しく、原発巣のコントロール状態、全身状態、生命予後、重大な転移巣や重篤な合併症の有無などから全身的な評価を行い治療方法を決定します。原発巣の専門医による治療が第一優先のため、当院で対応ができない場合は他院へご紹介することがあります。