最新の治療デバイス
リードレスペースメーカーとS-ICDは最近使用され始めた機器ですが、従来型機器のデバイス感染とそれによるリード抜去という植込みデバイス最大の合併症を避けることができるという優れた特徴があり、当センターでは積極的に使用しています。
リードレスペースメーカー
現在臨床使用されているリードレスペースメーカーはMedtronic社のMicra™が唯一の機種で、日本では2017年から臨床使用が開始されています。リードがないため、リードに関係するトラブルや感染に強く、体表にデバイス本体を置かないため、美容的にも優れています。皮膚の薄い老齢者では、デバイスポケットのトラブルが問題となりますが、リードレスペースメーカーはデバイスポケットを作る必要もありません。
当センターでは順調に症例を積み重ね、2020年末時点の植込み数は全国第2位となっております。
手技としては直接心臓の壁に植え込む形となるため、全世界規模では一定数の事故が報告されています。ただし、当センターにおいては、全症例で重大な合併症は1件も発生していません。これは我々が誇りとするところです。
また感染に強いという点で、感染を起こしやすい人工透析の患者さまにとってメリットが大きく、当センターでは積極的に使用しております。
S-ICD
S-ICDは、リードレスペースメーカーとは逆に、全てのシステム(リードと本体)を体表面に植え込むため心臓や血管には一切関与しません。従って、通常のICDの最大のリスクである感染は、S-ICDでは大きなリスクとはなりません。心内膜炎や敗血症を起こすことはほぼないと言ってよいシステムです。また、最近の研究によれば、通常のICDが心臓の中で高圧電流を流すことによって起きる心臓の筋肉への悪影響も、S-ICDでは極めて少ないと考えられています。当センターでもS-ICD植込みを積極的に推進して、感染に弱く構造的に長寿命が得られにくいICDリードの使用を、必要最小限にする努力を行なっております。当センターにおける2020年度の植込み数は全国2位でした。
写真提供:ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社、日本メドトロニック株式会社