部門

透析室業務

千葉西総合病院・透析センターのCE業務は透析室内での血液浄化を対応しています。
当センターではHD(血液透析療法)HDF(血液透析濾過療法)を中心に45床体制にて2クールの透析療法を実施しています。心電図・胸部レントゲン・血液検査等の診療を患者様の状態に応じて医師・看護師等の連携の元に治療を提供しています。

また当センターでは透析支援システム(ダイアコムIT)を導入したことで、業務の効率化を計り、患者様への安心・安全な医療の提供に努めています。

その他の血液浄化療法では各種アフェレシス(PE・PA・PP)、腹水濾過濃縮再静注法(CART)等にも対応しております。

2021年度からは、CLTI(chronic limb-threatening ischemia:包括的高度下肢虚血)に対する血液浄化療法を開始しました。

この他に、透析中は心電図モニターを装着し、ウォールーム(患者モニター監視システム)で専属のスタッフが監視し異常があれば早急な対応が可能となっています。

業務内容

機器管理

人工腎臓装置は高度管理医療機器に指定されており、日々の日常点検・始業前点検・使用中点検・終業点検は勿論の事、定期的な消耗部品の交換をはじめ、機器の精度・安全管理を積極的に行っています。

臨床業務

血液透析療法はチーム医療です。医師・看護師・臨床工学技士・薬剤師・栄養士などの各職種と連携をとり、それぞれ専門性をもって患者様の治療に関わっています。その中で穿刺・透析条件設定・治療中の患者様の状態への対応・返血は業務分担する事なく、看護師と臨床工学技士で協力し業務を行っております。バスキュラーアクセス管理では全患者のアクセスマップを作成し、スタッフ間のアクセス情報の共有、穿刺困難な患者様に対してはエコー下穿刺も積極的に行っております。また、検査データなどから透析量の適正化を計るために積極的に医師へ上申し、それぞれの患者に合った透析療法を提供しています。

水質管理

当院では水質基準を高めるため、透析機器安全管理委員会を設置し、ETRF交換・エンドトキシン測定・生菌検査等行い厳密な管理を行っています。

特にOn-Line HDFでは清浄化した透析液を補充液として使用します。そのため専任の臨床工学技士が担当し安全・安心な透析液を提供しています。

透析情報管理

透析情報管理システム(ダイアコムIT:ニプロ社製)と電子カルテ・医事システムを連携させ、透析患者様の情報(透析条件・検査結果など)からスケジュールやコストを一元管理しています。一元管理する事により業務の効率化が計られ、スタッフが患者様のベッドサイドにいる時間が大幅に改善されています。

感染対応

新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、当センターでも濃厚接触者および陽性者に対する血液浄化を行っております。ベッド間のロールカーテンは全ベッド間に設置し、濃厚接触者エリアにはパーテーションを設置して他の患者様が安心して治療できるように感染対策を行っています。また、治療エリアに入る際にはPPE(personal protective equipment:個人防護具)の着用やスタッフに対する感染対策教育も徹底しており、適切な治療ができるよう努めております。

症例件数

2018年度 2019年度 2020年度 2021年 2022年 2023年
HD 21,891 22,838 25,239 25,982 23,375 19,841
HDF 2,726 246 2,467 2,136 4,424 4,956
CRRT 310 338 386 198 167 259
PE 27 9 36 43 0 3
PP 8 7 5 10 7 9
PMX 43 56 37 40 27 24
G-CAP 23 14 0 0 11 8
DHP 1 2 0 0 0 0
LDL 0 8 3 0 0 0
CART 7 12 8 2 11 0
CLITに対する血液浄化         18 58

血液浄化関連機器

  • 多人数用透析液供給装置(NCS-V:ニプロ社製)
  • 粉末精剤溶解装置(NPS-50A:ニプロ社製)
  • B粉末自動溶解装置(NPS-50B:ニプロ社製)
  • 逆浸透精製水製造装置(MRC-DcnanoAO:三菱ケミカル・アクアソリューションズ社製)
  • 血液透析装置(NCV-3・NCV-2・NCV1-i:ニプロ社製)
  • 特殊血液浄化機器(AcuFilMulti 55X-Ⅱ;JUNKEN MEDICAL社製)
  • エンドトキシン捕捉フィルター(CF-6113L・CF-609N;二プロ社製)
  • 超音波診断装置(Versana Active:GEヘルスケア社製)

関連ワード

  • 血漿交換療法(PE・PA・PP):血漿分離器で血液から血漿成分を分け、分離された血漿成分を正常な血漿などに置換する療法(PE)です。劇症肝炎をはじめとした各種治療に用いられます。また、選択的に病因物質を除去する療法として、血漿分離器で分離された血漿を吸着筒に灌流させ、目的物質を吸着除去する治療法(PA)があり、家族性高コレステロール血症(FH)、閉塞性動脈硬化症(ASO)、肝不全(高ビリルビン血症)などが適応になります。
  • 直接血液吸着療法(DHP):血液中に含まれる病因物質に合わせた吸着剤(リガンド)を選択し、直接吸着剤に血液を灌流させることにより病因物質の選択的な除去、または血球成分(顆粒球・単球)などを吸着し除去を行う治療法です。
  • 腹水濾過濃縮再静注法(CART):がんや肝硬変などによって溜まった腹水(または胸水)を、濾過濃縮して有用なタンパク成分を回収する治療法です。
  • 包括的高度下肢虚血(CLTI:chronic limb-threatening ischemia):虚血・創傷・感染によって下肢の存続が危ぶまれる臨床的に特殊な状態のことであり、早期の集学的治療による下肢救済が必須となります。2021年度より当院ではCLTIに対する血液浄化療法を開始しました。この治療では、LDLおよびフィブリノーゲンを吸着することにより、末梢血液循環の改善を図り難治性潰瘍を治療することを目的としています。