産婦人科

子宮筋腫

子宮筋腫とは

子宮は主に筋肉によって出来ています。この筋肉にこぶ(腫瘍)が出来ることがあり、これを子宮筋腫と呼びます。筋腫は卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)の働きにより増殖し、大きくなると言われています。直接命に関わることのない「良性腫瘍」で、悪性化することはないと考えられています。下に挙げる症状がなければ、必ずしも急いで手術することはありません。ただし、極めて稀ではありますが、子宮筋腫との鑑別が難しい「子宮肉腫」という悪性疾患である場合があるため、発見された場合は放置せず、定期的に検診を受け、経過観察を行いましょう。

症状

小さいものでは自覚症状のない場合がほとんどです。大きくなっていくに伴い、月経過多(月経時の出血量が多くなる)、月経過多による貧血、強い月経痛、おしっこが近くなる(頻尿)といった症状が現われます。場合によっては、不妊症の原因ともなります。

筋腫の出来る場所と症状

子宮の筋肉の中(筋層内筋腫)

子宮の筋肉の中に出来る筋腫。月経過多の原因となります。不妊症や流産を引き起こす場合もあります。最も多いタイプの子宮筋腫です。

子宮の内側(粘膜下筋腫)

子宮の内側(内腔)は月経の時に剥がれ落ちる子宮内膜に覆われています。この子宮内膜の下に出来る筋腫を粘膜下筋腫と呼びます。筋腫は子宮の内側に向かって大きくなります。不正出血、月経過多、貧血、不妊症などを引き起こします。

子宮の外側(漿膜下筋腫)

子宮の外側を覆っている漿膜の下に出来る筋腫。筋腫は子宮の外側に向かって突き出るように増殖し、非常に大きくなることがあります。子宮内部に影響しないため、月経過多等の症状が現われにくいという特徴があります。

検査について

主として問診、内診、超音波検査を行います。

問診:月経の状態や貧血症状の有無、頻尿ではないかなどを伺います。
内診:医師が子宮や卵巣の状態を直接触って調べる触診や、お腹側と腟側から子宮を挟むようにして筋腫の位置や大きさを調べる双合診、器具を用いて腟の中を観察する腟鏡診などを行います。

超音波検査:主にスティックタイプのプローブ(超音波発信器)を用いて経腟的に行われます。侵襲のない極めて体にやさしい検査です。

その他必要に応じて、MRI検査、血液検査、子宮鏡検査、ソノヒステログラフィー(通水超音波検査)等を追加する場合があります。

通常、内診による痛みはほぼありませんが、当然ながら緊張をされるかと思います。検査中に痛みやご不安があれば遠慮なく医師、看護師にお伝えください。

治療について

上でもふれたように、子宮筋腫は必ずしも治療が必要な病気ではありません。 症状の有無や今後の妊娠の希望によって、対処の仕方(治療法)は変わってきます。
当院では、個々の患者様が十分にご納得のいく選択をしていただけるよう、丁寧なご説明とサポートを心掛けています。 

薬物療法(ホルモン療法)

お薬(GnRHアナログ製剤)を使用し、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌を抑えることで子宮筋腫を小さくします。更年期症状や骨密度の低下が現われるので、お薬を連続して使用できる期間は原則6か月に限られます。また本療法で筋腫は小さくなりますが消えることはありません。根治のために用いられる治療法ではなく、主に筋腫を小さくして手術の難易度やリスクを抑える目的で選択されます。

筋腫核出術

子宮筋腫のみ切除(核出)し、子宮は温存する手術です。今後、妊娠を希望される方や子宮をすべて摘出することに心理的な抵抗を感じる方に適しています。子宮筋腫が大きい場合やたくさんある場合は出血が多くなることがあります。そのため、ホルモン療法(偽閉経療法)をすることで筋腫を小さくし、子宮への血流を減らすことで手術中の出血量を減らしたり、手術前に自己血を貯血し、多量出血時に備えるなどの対応をすることがあります。

子宮全摘出術

子宮全体を摘出する手術です。通常、卵巣は温存しますので、ホルモンバランスには影響しないと言われています。当院では妊娠の希望がない、あるいはご年齢だけで子宮全摘出術をお勧めすることはありません。まず子宮を残したいかどうかについて患者様のご希望をお伺いしたうえで、筋腫の状態等も踏まえて、慎重な検討を行います。

当院の婦人科手術の特色

当院の婦人科手術は、可能な限り患者様の体の負担が軽く、回復も早い低侵襲手術(ダビンチ手術、腹腔鏡手術、子宮鏡下手術))で行われています。

該当する症状があり診察をご希望の場合は、月~土曜日午前の婦人科外来を受診ください。初診は予約なしで受診いただけます。