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MICS弁膜症手術

単独の大動脈弁の病気、単独の僧帽弁の病気、または三尖弁の病気や不整脈を伴った僧帽弁の病気もこの低侵襲弁膜症手術(MICS:ミクス)が行えます。その他、心房中隔欠損症、心臓腫瘍、狭心症の一部などもこの手術で行えます。

MICS弁膜症手術の実際(僧帽弁)

手術は全身麻酔で行います。人工心肺は鎖骨の近くあるいは足の付け根の動脈を利用してセットします。胸の横に数cm程度の創から心臓にアクセスします(図①)

その後、心臓を心筋保護液で停止させ、弁を修復します。図②、図③、図④は弁の壊れた部分を修復して人工のリングをあてているところです。

ロボット支援下MICS弁膜症手術(ロボット心臓手術)

4つある心臓弁のうち、僧帽弁と三尖弁の病気に対しては保険適応によるロボット心臓手術が実施可能です。
(ロボット支援下弁形成術)
従来のMICSでは鉗子を通じて行っていた操作を、ダビンチXi(手術支援ロボット)による操作に置き換えたものとご理解いただければと思います。
視野の拡大や、多関節構造のアーム、手ブレの排除などダビンチXiの特徴を生かした、より正確でより安全な手術が実施可能です。

計4本のアームにカメラや鉗子が繋がれ、体内に差し込まれています。

医師は「サージョンコンソール」と呼ばれる操縦席にてロボットを操作します。

ロボット心臓手術動画(弁形成術)

MICS弁膜症手術のメリット・デメリット・費用

メリット

胸骨を切らなくてよいため(図①)術後の回復が早く、それに伴いより早期の社会復帰が可能です。術後の傷の痛みは、24時間経過以降、胸骨を切る通常術式(胸骨正中切開)よりも軽くなります。また通常の心臓手術では胸の真ん中に15 cmから20 cm程度の創がつきますが、MICS弁膜症手術では乳頭の横に小さな創がつくだけですので美容的にも優れています(図②、③)。

図① 通常術式(胸骨正中切開)
胸の真ん中の骨「胸骨」を開いて心臓にアプローチします。
図① MICS
ろっ骨のすき間から心臓にアプローチします。骨は切りません。
図②

図③(写真:僧帽弁形成術後)

デメリット

小さなワーキングスペースで手術を行いますので心臓を止めておく時間が長くなる傾向にあります。そのため心臓の機能が極端に低下した患者さんには逆に負担が大きくなる可能性が高く不向きとなります。

費用

費用は通常の心臓手術と同じで健康保険が適用されます。