耳鼻咽喉科

耳の病気

慢性中耳炎

慢性中耳炎(単純性慢性中耳炎)とは

慢性中耳炎とは急性中耳炎や外傷によってできた鼓膜の穴が閉鎖されず、鼓膜に穴が残った状態です。細菌感染がおこり耳漏(耳だれ)が発生したり、穴のせいで音の伝達がうまくできなくなることで難聴が発生する場合もあります。

慢性中耳炎の治療

耳漏を一時的に緩和するために抗生剤の点耳薬や内服を使用する場合がありますが、鼓膜の穴をふさぐには原則として手術が必要です。

手術は鼓膜の穴の大きさと場所、難聴の程度で変わってきます。
鼓膜の穴が小さく、聴力が良好である場合は「鼓膜形成術」を行います。「接着法」ともいわれる手術方法で、局所麻酔で行えるため、日帰りや一泊入院で行うことができます。また、基礎疾患のある方にも安心して行うことができます。
鼓膜の穴が大きい場合や聴力が悪い場合は、鼓膜の奥の耳小骨(音を伝える骨)が固くなっていることが考えられます。その場合は、「鼓室形成術」を行います。これにより、鼓膜を作り直すだけでなく、鼓膜の奥の耳小骨の動きも改善させることができます。内視鏡下で行うことで、耳の穴からすべての操作を行うことが可能となるため、外側にはあまり傷が残さずに行うことができます。

当院では手術の必要な患者様は他施設への紹介をさせていただきます。


真珠腫性中耳炎

真珠腫性中耳炎とは

鼓膜の一部がへこんで垢が溜まったものを真珠腫と言います。真珠腫は細菌の温床となり、周囲の骨や組織を溶かしながら大きくなっていきます。悪臭を伴う耳漏(耳だれ)が発生するほか、進行すると周囲の骨が壊されることにより難聴やめまい、さらには顔面神経麻痺や髄膜炎等の重篤な症状を引き起こすこともあります。

真珠腫性中耳炎の治療

耳垢が陥凹部分にたまるため、定期的に耳垢の清掃が必要となります。
最終的には「鼓室形成術」での陥凹部分の除去が必要です。陥凹部分が浅い場合は、内視鏡下で外耳道切開からの手術で摘出が可能です。音を伝える骨(耳小骨)が欠損している場合が多く、その場合は軟骨・自家骨・人工骨で再建します。
後方の乳様突起と呼ばれる部分まで真珠腫が進展している場合は、耳の後方を切開し、「乳突削開術」を行います。この場合は顕微鏡下で行います。
入院期間としては術式や術後の状態などに応じて3~7日程度が一般的です。

当院では手術の必要な患者様は他施設への紹介をさせていただきます。


突発性難聴

突発性難聴とは

明らかな原因やきっかけがないにも関わらず、突然耳の聞こえが悪くなる病気を突発性難聴と総称します。単純に聞こえ辛いという症状に加えて、耳鳴りや耳閉感(耳が詰まっている感じ)を感じたり、めまいを感じる方もいます。
ほとんどの場合、片側の耳のみで発生し、両耳共に発症することはまれです。
詳しい原因は不明ですが、ストレスや疲労、ウイルス感染、糖尿病等による血流障害などが引き金となると言われています。
早期に治療を開始すれば回復しやすいといわれていますが、治療開始が遅くなると症状が改善されず、難聴がそのまま残ってしまう可能性が高くなります。
該当する症状があれば、なるべく早く耳鼻科を受診しましょう。

突発性難聴の治療

一般的にはステロイド(副腎皮質ホルモン)の内服や点滴による薬物治療が行われます。高気圧酸素治療(HBO)も有効です。当院では院内に高気圧酸素治療装置もありますので、いずれにも対応可能です。

高気圧酸素治療装置