専門医療センター

TAVI治療

大動脈弁狭窄症

大動脈弁狭窄症は、心臓の弁のひとつである大動脈弁が正常に開かなくなる病気です。
そのため、血液の流れが妨げられて、息切れ、疲れやすさ、動悸、胸の痛み、めまいなどの症状が表れます。重度の場合は失神を起こす場合もあります。

大動脈弁狭窄症の原因には、生まれつきのもの、リウマチ熱の後遺症、加齢による動脈硬化などがあります。

軽度~中等度の方は経過観察、もしくはお薬による治療を行います。ただしお薬での治療は症状を緩和し、進行を抑えるために行うもので、根本的な治療とはならない点に注意が必要です。
中等度から重度の場合は手術が必要です。外科手術は弁を置き換える「弁置換術(SAVR)」、ご自身の弁を修復する「弁形成術」があります。さらに近年は、体への負担が少なく、手術が困難な患者様にも実施が可能なカテーテル治療「TAVI(経皮的大動脈弁留置術)」が行われており、適応の拡大も進んでいます。

TAVI治療(経皮的大動脈弁留置術)

TAVI治療では、外科手術と違って開胸して、一時的に心臓を止める処置は行いません。その代わりに医師はカテーテルといわれる細い管を使用して、足の付け根などから心臓にアプローチします。
実際の手技としては、折りたたまれた人工弁をカテーテルにより大動脈弁の位置まで運び、留置します。
胸を開かず、人工心肺も利用しないため、外科手術に対して体への負担が軽く(低侵襲)、入院期間を短縮できることも特長といえます。
従来は年齢や併存症のために、外科手術を受けることが難しい患者様が対象となる治療でしたが、2020年に改訂された弁膜症治療ガイドラインでは、手技のリスクや年齢、患者様の希望などを総合的に検討し、最善であると判断されれば外科手術が施行可能な患者様に対しても行えるようになりました。
また、2021年に動脈硬化が起こることが比較的多いとされている、慢性透析患者様に対する適応拡大が承認され、当院でも実施しております。

TAVIで使われる人工弁

手技手順

Q&A

Q
TAVI治療は保険適用ですか?
A

公的医療保険が適用されます。また、高額療養費制度の利用も可能です。

Q
入院期間は?
A

10日~14日程度になります。

Q
手技適応の対象は?
A

ご年齢や手技のリスク、併存疾患や弁の耐用年数などから総合的に判断します。年齢等から一律で決定されるものではありません。

Q
麻酔は全身麻酔ですか?
A

原則として全身麻酔で行います。全身麻酔のリスクが高い患者様に対しては、部分麻酔で実施する場合もあります。

Q
TAVI治療の特長をおしえてください
A

外科手術が出来ずお薬でのコントロールも難しかった重症大動脈弁狭窄症患者様にとっての治療選択肢となること、低侵襲で社会復帰も早いことが挙げられます。

平均的な治療費用

70歳以上の方

対象者実際の窓口負担額(食事代込)
現役並み所得者Ⅲ 課税所得
約690万円以上
約¥310,000
Ⅱ 課税所得
約380万円以上
約¥220,000
Ⅰ 課税所得
約145万円以上
約¥140,000
一般課税所得
約145万円未満
約¥80,000
低所得者住民税非課税
(低所得Ⅰ)
約¥60,000
住民税非課税
(低所得Ⅱ)
約¥40,000

70歳未満の方

対象者実際の窓口負担額(食事代込)
区分ア年収約1,160万円以上約¥310,000
区分イ年収約770万円~1,160万円約¥220,000
区分ウ年収約370万円~770万円約¥140,000
区分エ年収約370万円以下約¥80,000
区分オ住民税非課税(低所得Ⅱ)約¥60,000

※入院日数や部屋代により、負担額は変動します。

当院の治療体制について

TAVI治療はハートチームにより施行されます。当院のハートチームは豊富な症例数に裏打ちされた経験豊富で優秀なスタッフたちにより構成されており、高い安全性と治療効果を提供します。

ハートチームとは

循環器内科医師、心臓血管外科医師を中心とした多職種が連携して循環器疾患治療にあたるシステムのこと。チームには看護師、麻酔科医師、臨床工学技士、放射線技師等が含まれ、それぞれの専門分野に関する知識と経験を持ち寄り、患者様に最善の治療を提供するために日々業務にあたっています。

また、当院SHDセンター長 桃原医師はTAVI治療のプロクター(手術指導医)認定を受けており、他施設に対し新規導入時の指導、支援も行っています。

担当医師

桃原 哲也 循環器内科主任診療部長・SHDセンター長

医学博士
日本内科学会 認定医
日本循環器学会 専門医
日本心血管インターベンション治療学会 専門医・指導医
日本経カテーテル心臓弁治療学会(JTVT)実施医・指導医(Core Valveシリーズ、SAPIENシリーズ)
TAVIプロクター認定(メドトロニック社、エドワーズライフサイエンス社)

飯塚 大介 循環器内科部長

日本循環器学会 専門医
日本内科学会 総合内科専門医
日本心血管インターベンション治療学会 認定医・専門医
経カテーテル的心臓弁治療関連学会協議会 TAVR指導医(SAPIENシリーズ)・TAVR指導医(CoreValveシリーズ)

倉持 雄彦 副院長・循環器内科主任部長

日本循環器学会 専門医
日本内科学会 総合内科専門医
日本心血管インターベンション治療学会 専門医

牧野 仁人 循環器内科部長

日本循環器学会 専門医
日本内科学会 総合内科専門医・指導医
経カテーテル的心臓弁治療関連学会協議会 TAVR指導医(SAPIENシリーズ)・TAVR実施医(CoreValveシリーズ)
日本心血管インターベンション治療学会 認定医
日本病院総合診療医学会 総合診療医

お問合せ・ご相談について

患者様

当院循環器内科外来にお越しいただくか、無料メール相談(直通メールまたは問い合わせメールフォーム)をご利用ください。

医師直通メール:chibanishi.shd@gmail.com
お問い合わせメールフォームはこちら

循環器内科外来月曜日~土曜日(祝日除く)
担当医師(桃原/飯塚)外来木曜日 午前・午後

他施設の方(患者様のご紹介ほか)

地域連携室までご連絡ください。
TEL:047-384-8564
月~金曜日 8:30-17:00/土曜日 8:30-12:30

(画像・動画提供:エドワーズライフサイエンス株式会社/日本メドトロニック株式会社)